生きていく中で水分を摂取することはとても大切なことですよね。それは人間だけでなく、猫も一緒です。
猫にペットフードを与えるとき、新鮮な水を一緒に用意している飼い主さんも多いと思います。
しかし、フードはいっぱい食べてくれるのに、飲み水には口をつけない猫ちゃんは多いのではないでしょうか?
乾燥している季節には、十分な水を摂取しているのか心配になってしまいますし、暑くなる時期が近づけば水に対しての心配はより一層増すばかりかと思います。
健康管理のためにも猫ちゃんが必要としている水の量が、どれくらいであるのか知っておくことができれば、その心配も多少軽減されるのではないでしょうか。
今回は、そんな猫ちゃんの、一日当たりに必要とする水の量についてまとめてみました。
猫に必要な水の量はどれくらい?
水は猫の体の60%~80%を占める重要な要素です。
水分要求量は体に必要な水分量になるので、猫が栄養を代謝させる際に体の中で作られる代謝水分を差し引きます。
代謝水は一日当たりの水分要求量の10%、つまり、残り90%を飲み水やペットフードから摂取しなくてはいけないことになります。
猫の体重別一日の水分摂取量
一般的に、猫が摂取する必要のある一日の水分量は、体重1kgにつき約50mlと言われています。
体重が4kgであれば200ml、体重が6kgであれば300ml程度が必要量という計算になりますね。
ちなみに、200ml=200㏄=1カップになります。
飼っている猫ちゃんがしっかり飲んでいるのか不安な飼い主さんは、水飲み皿に入れる水を計っておいて、一日の終わりにどれだけ減ったかを確認するのがオススメです。
そうすることで、自分の愛猫の摂水量が少ないのか、または多すぎるのかが明確になるため、対策もしやすくなります。
フードから摂れる一日の水分摂取量
一般的に、健康な成猫が快適な温度条件下で暮らしているときに飲む水の量は、フードの乾物量(水分をのぞいた重量)の約2.5倍といわれています。
一般的なフードの水分含量は下記のとおりです。
- ドライフード :約10%
- ウェットフード:約75%
例えば、ウェットフードを毎日170g食べる猫は、170×0.75=127.5mlとなりますので、フードだけで約128mlの水分を摂取していることになりますね。
一方で、ドライフードを毎日100g食べる猫は、170×0.1=17mlになります。
気温や運動量、その猫ちゃんの体調などにもよっても摂取量は大きく左右されます。
そのため、理論上の数値を信頼しすぎるのではなく、水はいつも新鮮なものが飲めるような環境を整えておくことがベストです。
人間用のミネラルウォーターですと、マグネシウムなどのミネラルが多く含まれているものもあり、尿路結石症の原因になってしまいます。
猫ちゃんに与える場合は成分を十分にチェックすることが必要です。
猫ちゃんにミネラルウォーターをあげる時は軟水にしましょうね!
何故猫はあまり水を飲まないの?
猫ちゃんがかかりやすい腎臓病や泌尿器系の疾患は、「水をあまり飲まない」という猫の性質が関係していると考えられています。
なぜ猫はあまり水を飲まないのかというと、祖先とするリビアヤマネコに由来していて、彼らは砂漠で生きていくために尿を高濃度に凝縮し、少ない水分摂取で生きられるよう適応しました。
そのため猫は、渇きを感じる感覚が弱くなってしまったと考えられています。
水は、活動の生命線であるだけでなく、体内の毒素を薄めたり、排尿によって体外へ毒素を排出する機能にも欠かせないものです。
猫の慢性腎不全などの泌尿器系の疾患は、猫があまり水を飲まないことによる弊害といえるでしょう。
過酷な環境に耐えられるように進化した弊害が現れているんですね。猫ちゃんが意識的に水分補給できるように環境作りをしましょう!
猫が水を少量しか飲まない
一日の猫の飲水量がどれくらいか判明したところで、「うちの子、そこまでお水をのんでいるとは思えないな…。」と不安に感じる飼い主さんも多いと思います。
先祖の特徴を知り、もともと水をたくさん必要としない生き物だということがわかっても、猫ちゃんの健康を思えば不安は尽きませんよね。
「うちの子は飲む量が少ないように感じる」と思うようでしたら、下記の点をチェックしてみてください。
水が冷たい
夏の暑い日は、喉がカラカラに乾くため、つい冷たい飲み物を欲してしまいますよね。
私たち人間の感覚では、飲みたいと思う飲み物の温度は体感気温によって左右され、おいしいと感じる味覚にも影響を及ぼします。
だからつい、大切な家族である愛猫にも、同じような感覚で「暑い日には冷たい水」と考えてしまう飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
実はこの行為、猫にとって非常によくないことをご存じでしょうか。
猫は常温の水を好み、冷たすぎるものも熱すぎるものも苦手です。
そして冷たい飲み水は、猫の内臓を急激に冷やしてしまう恐れもあるので、体を傷つけないためにも、猫は冷たい水を口にするのを避けるのです。
水が飲みにくい
猫が水を快適に飲むことを妨げるような要因は、水を入れている容器という事も考えられます。
猫の口の周りには、彼らの重要なセンサーであるヒゲがたくさん生えており、その敏感な部分であるヒゲが当たってしまうような容器を猫は好みません。
また、水を飲むときは首を下に下げた姿勢で飲むので、低すぎる容器も猫にとっては飲みにくい要因となってしまいます。
容器の高さがあまりない場合、ある程度高さをもたせられる、しっかりとした土台を置くことで改善されるかもしれません。
他にも、水を置いている場所がうるさくて快適でない場合なども猫が水を飲むのをやめてしまう要因となります。
安心できる場所でないと落ち着いて食事ができないのは人間も猫も同じです。容器の設置場所は、落ち着いて快適に水を飲めるような場所選びが大事であることを念頭に置いてください。
猫ちゃんにとっての「美味しい水」は常温で、猫ちゃんがお気に入りの容器で飲みたいんです!
猫が水を大量に飲む
では逆に、「うちの猫が飲むお水の量は多すぎる気がする…」と感じる場合はどうしたらいいのでしょうか。
元気に暮らしてもらいたい猫ちゃんが万が一にも体調不良なら気が気ではいられませんよね。
いったいどんな原因が考えられるのか見ていきましょう。
食事の種類
ペットフードをちゃんと準備しているのに、食事よりも水を多く飲んでしまう子もいるようです。
そのような場合は、フードが猫ちゃんにあっていないか、もしくはおいしくなくて避けている可能性があるかもしれません。フードの種類を変えて様子を見てみましょう。
また、食事に含まれる塩分が多くて、単純にのどが渇いている場合もあります。
特に人間の食べ物を与えた後に水をたくさん飲む傾向がある場合は「しょっぱい」と感じている証拠ですので、人間の食べ物は与えないようにしましょう。
病気
明らかに水を多飲する場合、病気の可能性を疑いましょう。
体重1kgに対して50ml以上の水を摂取している場合、猫にとっては水を飲み過ぎだと考えられます。
多飲から見られる病気の兆候としては、「慢性腎不全」や「糖尿病」などの疾患が挙げられます。
他にも体のどこかに炎症があるという場合、水分を多くとるようになりますので、多飲の症状がある場合、すぐに獣医に診てもらいましょう。
人もしょっぱい物を食べた時は喉が渇くし、体調が悪い時は発熱して水を沢山飲まなければいけない状態になりますよね。
まとめ|健康に暮らすために
猫はもともと、あまり水を必要としない動物ではありますが、飲む水の量が少なすぎたり、逆に多すぎるのではないかと飼い主さんの心配の種になりやすい部分であると思います。
水を飲んでくれるように工夫したりして、一日の水分摂取量を管理するのはとても重要なことです。
単に快適な暮らしのためでなく、大事な愛猫の健康管理にもつながり、万が一病気になった場合にすぐに気づくサインにもなります。
環境を整えて、健康に過ごしてもらえるようぜひいろんなお水や、猫ちゃんにあった食器を試してみてください!