丸くなったり、びよ~んと伸びたり…
眠る猫の体は、変幻自在! まるで液体のようですよね。
「猫はコタツで丸くなる♪」と童謡にもあるように、「寒がり」のイメージが定着している猫。
寒い季節に猫が丸くなるのには、理由があります。
冷気を感知しやすい露出した鼻をふかふかの毛皮に埋めて隠し、温かい呼気を外に漏らさないようにして顔のまわりを温めているのです。
さらにモフモフの尻尾マフラーを体に巻きつけるのも、防寒対策の重要ポイントでしょう。
春が訪れ、気温が上昇していくと、猫の寝相は変化していきます。
体を開き、前後の足を伸ばしたり、お腹をみせてバンザイポーズで爆睡したり…
このように猫は、気温に応じて寝相を変えることによって「快適な眠り」を追求しているんですね。
しかし近年の急激な気温変化には、猫が「寝相を変える」だけでは対応しきれないことも…
体調を崩したり、熱中症になったりする可能性もあります。
そこで、飼い主さんが愛猫の健康を守るためにするべき大切なことが室温の調整です。
では、猫にとってもっとも快適な温度とは、どれくらいなのでしょうか?
猫にとって快適な温度は?
家猫のご先祖サマは、リビアヤマネコという猫で、約1万年前から中東の砂漠地帯で暮らしてきました。
なので、猫は寒さが大の苦手なんですね。
かといって、彼らが暑さに強いというわけでもありません。
「グルーミング」と呼ばれている猫の毛づくろいは、猫の飼い主さんにとってごく日常的な光景ですよね。
この行為は、「清潔を保つ」「ストレス解消」「血行促進」のほか、「体温調節」という重要な役割を持っていることをご存知でしょうか?
暑い季節、猫は体毛をなめたときに付いた唾液が蒸発するときの「気化熱」で体を冷やします。
反対に寒い季節は、毛の間にたまった温かい空気が逃げないように、毛並みを整えているのです。
そんな猫の優れた健康管理能力にも、限界があります。
暑さ寒さで体調を崩したり、熱中症になったりすると、命にかかわることも!
では猫は、何℃くらいの温度なら「ちょうどいいニャ~」と感じるのでしょうか?
猫が快適に過ごせる気温は、20℃から28℃くらいといわれています。
そして猫の健康には、湿度も重要です!
暑い季節、湿度が高すぎると、「気化熱」でうまく体温を下げられないからです。
なので、気を配るのは室温だけでなく、湿度も50%から60%程度に保ってあげるようにしましょう。
快適な室温を保ち、熱中症にならないためには?
猫が体調を崩すことなく、快適に過ごせる室温や湿度を保つために有効なのは、エアコンを活用させることです。
夏にエアコンを使うとき
近年は猛暑や酷暑と呼ばれることもある、わが国の夏。
エアコンの設定温度にも迷ってしまいますよね。
猫が快適に過ごすための設定温度の目安は28℃くらいといわれていますが、酷暑日などは冷えすぎてしまうこともあります。
人間が「少し暑いかな」と感じるくらいの室温を猫は「ちょうどいいニャ」と感じるので、真夏は28℃から30℃くらいで調整したほうがいいでしょう。
そして猫が「冷えすぎニャ~」と感じたときに避難できる、ドーム型ベッドや毛布を敷いたハウスなどを置いてあげるといいですね。
湿度が高いときは、除湿機能も使用してくださいね。
冬にエアコンを使うとき
そして冬、寒がりの猫が快適に過ごせる温度は22℃から28℃くらいといわれています。
しかし、「愛猫が寒そうだから」と暖房の温度を上げすぎると、冬でも熱中症になってしまう危険もあります!
エアコンの温度を適温に設定するほか、ふだん猫が寝ている場所にペット用の湯たんぽやホットマットなどを置いてあげましょう。
もし熱中症になってしまったら?
猫の熱中症の症状は、
- ぐたっとしている
- 苦しそうな呼吸
- よだれ、けいれん
- ふらふら歩く
- 嘔吐
などです。
外出から帰ったときに異常に室温が高く愛猫がこんな様子だったら、すぐに体調がおかしいことに気づきますよね。
そんなときは、慌てず、まず次のような処置をしてください。
- 部屋の温度を下げるか、涼しい場所に移動させる。
- 水を飲ませる
- 濡らしたタオルなどで体を拭く
- タオルでくるんだ保冷剤を足の付け根にあてる
この処置のあと症状が落ち着いたように見えても、内臓などの機能に障害が起こっていることがあります。
できるだけ早く獣医さんに連絡をして、指示に従ってくださいね。
まとめ
1日のほとんどの時間を眠って過ごす猫。
猫は犬のように舌を出して体温を下げることもできず、グルーミングや寝相を変えることによる体温調節には限界があります。
快適な温度の部屋で気持ちよさそうに眠る愛猫の姿は、見ているだけで癒されますよね。
飼い主さんは気温や湿度に気を配り、猫が心地よく過ごせる環境にしてあげて、暑い夏も寒い冬も愛猫と一緒に快適に過ごしましょう!